じゃがいもログ

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子と生活中

読書メモ - 遺伝子治療の新局面

医師向けの雑誌のようでしたが、Amazonで普通に購入できるので取り寄せて読んでみました。

SMAもしくは筋疾患系の話に絞って読んでみたうえで、AVXS-101関連のすでに公になっている情報を見直してみると、だいたい次のようなことがわかりました。

AVXS-101でベクターとして使われるAAVとは、アデノウィルスに随伴している別のウィルス(アデノ随伴ウィルス)のことで、ベクターとしてはかなりメジャーな存在だそうです。AAVは細胞内でエピソームとしてとどまることが多く、AAVによって導入された遺伝子情報は染色体外で遺伝子発現するようです。

つまり、AVXS-101は、染色体内にある機能していないSMN1遺伝子を置き換えたり改変するのではなく、機能していないSMN1遺伝子はそのままにして、染色体の外で正しく機能するSMN1遺伝子を導入するという効果があるようです。

アデノウィルスは多くの人が乳幼児期に感染するため(プール熱!)、アデノ随伴ウィルスも多くの方が抗体を持っているそうです。抗体を持っていると、静脈からの投与だと身体の免疫システムが機能してしまい、効果が薄くなってしまうようです。AVXS-101は、乳児以外は髄注で治験をしていると思いますが、その理由の1つはこれなのかもしれません。(ただし、以前読んだこちらの本だと、成長している患者の場合に求められる量を効率的に投与するには、髄注が有効と書いてありました。)

また、ここまで読めばわかると思いますが、ベクターというのは、(少なくともAAVについては)要は無害化されたウィルスに遺伝子情報を付与して、それを体内に感染させることによって細胞中に遺伝子情報を組み込むための仕組みのようです。これを最初に思いついた人はノーベル賞級ですね。過去に検討されてきたベクターの中には副作用のあるものもあったそうですが、AAVは安全性が高いとみなされているようです(少なくとも現時点ではということで、今後なんらかの副作用が報告される可能性はゼロではないと思います。)