じゃがいもログ

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子と生活中

Risdiplamについて調べてみた

Risdiplamが米国FDAに承認申請されたということで少し調べてみました。

もともとはRG7916という名前で開発されていた薬ですね。以前こちらでも紹介した「Spinal Muscular Atrophy - Disease Mechanisms and Therapy」という本に、開発の経緯がさらっとですが載っていました。

PTC Therapeuticsという会社が、候補薬を探す中でSMN-C1, SMN-C2, SMN-C3というSmall Moleculeに目をつけて、そこから派生したRG7800という候補薬をRocheが治験していたようです。RG7800は途中で問題がみつかりましたが、かわりにこれまた同系統のRG7916という候補薬の治験を進め、これがRisdiplamとして承認申請にいたったようです。

SMN-C系(Risdiplamを含む)がどのようにSMN2由来の全長SMN Proteinを増やすかは、こちらの論文に詳しく載っています。ちょっと難しいですが、SMN2遺伝子のExon7にあるESE2 (ESE: Exonic Splicing Enhancer)と、Intron7にある5'ssにSMN-Cがとりつき、その両方によってExon7がInclusionされる確率を高めるようです。ESE2については、Splicing EnhancerということでダイレクトにExon7 Inclusionに効果があるのかなーとなんとなくイメージがつきます。5'ssについては、SMN-Cがとりつくことによって、そこにさらにU1 snRNPがとりつくのを助長し、U1 snRNPがExon7のIncludsionを促進するそうです。論文の文章が難しくて、読み解くのが難しいですが、ググってみつけたこちらの資料のP.15に、もう少しわかりやすく書いてありました。

Nusinersenの時もそうだったのだろうと思いますが、いろいろな紆余曲折や努力があって承認申請にまでこぎつけたのが、経緯からわかった気がします。SMAの薬を開発してくれる研究者の方々に、感謝ですね。

経口薬ということで、Blood brain barrierが気になりますが、通過できるそうです。